家賃滞納者に対して行ってはいけないこと

自力救済は禁止

賃貸人からの相談であるのが、賃借人が家賃を滞納しているので、部屋を開けて生活しているのか確認してもよいかというものがあります。

賃借人に家賃滞納があるからといって、賃貸人自らもしくは管理会社を通じて賃借人の部屋を勝手に開けて無断で立ち入り、室内を確認することは法的には禁止されております。

これは自力救済禁止の原則と言われるものであり、賃貸人といえども、家賃を滞納している賃借人を勝手に追い出すことはできません。賃貸人が自力救済を行なえば不法行為となってしまいます。

自力救済が例外的に認められるのは、判例では法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内に限られます。実際に自力救済が例外的に許容されるのはどのような場合かというのは、ケースバイケースごとの判断になるということになります。

ただ、賃借人が家賃を滞納しているからといって、賃貸人が部屋に無断で立ち入ることは、不法行為となりますから注意が必要です。

 

自力救済条項は適法か?

では、賃貸借契約書に、例えば「賃借人に家賃滞納があった場合に、賃貸人は賃借人の承諾がなくとも、賃借人の居室に立ち入り室内を確認することできる。また賃貸人の判断により当該居室を施錠することができる。」との自力救済条項を入れていた場合には、賃貸人は賃借人の家賃滞納があった場合に、勝手に室内に立ち入ることは法的に許されるでしょうか。

賃貸借契約書で賃貸人と賃借人の双方が合意している以上、許されるような気もします。

しかし、このような自力救済条項を含む賃貸借契約を結んだとしても、当該条項自体が賃借人の居住権を侵害するとして公序良俗に反して無効と解されます(民法90条)。

自力救済を認める条項があったとしても無効とされる可能性が高く、やはり家賃滞納があっただけでは勝手に賃借人の室内に立ち入ることはできないということになります。

 

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