Archive for the ‘解決事例’ Category

遺産分割事案の解決事例

2026-05-05

 

1 事案内容

 本件は亡くなった父親の遺産に関する兄弟間の遺産分割の紛争ですが、亡父の遺言書がありました。亡父の遺産には不動産、預貯金、現金、株式、保険などがありましたが、亡父は不動産に関する配分についてのみ遺言書を残していました。亡父は生前、不動産賃貸事業を営んでおり、所有していた不動産の多くが収益物件(賃借人から賃料が支払われる物件)でした。そして、遺言書の内容は、一部を除き、ほとんどすべての不動産を兄に相続させるものでした。そして、遺言書に記載のなかった現金や預貯金などの分割をめぐって、兄弟間で話し合いがまとまらず、兄が遺産分割調停を家庭裁判所へ申し立てました。当職は弟の代理人として本件紛争に関わることになりました。

2 事案の争点

 裁判での主な争点は、➀亡父の遺言書から「持戻し免除の意思表示」が認められるのか。②不動産の評価でした。

 ➀の持戻し免除ですが、通常、被相続人(遺産を残して亡くなった両親など)が生前に相続人の一人に贈与や遺贈を行っていた場合、 その相続人は被相続人から特別受益を受けていた者として、残りの遺産を分割する場合、既に受け取っていた特別受益については控除されることになります。そのため、特別受益を受け取っていた相続人は残りの遺産からの配分を受けられないか、もしくは減少することなります。しかし、被相続人が遺言書などに特別受益としない旨記載しておくと、特別受益として計算しないことになります。このことを「持戻し免除の意思表示」(民法903条3項)と言います。

 本件では、亡父の遺言書には兄へ相続させた不動産について、「持戻し免除の意思表示」は記載されていなかったですが、兄から亡父は黙示に「持戻し免除の意思表示」をしていたと主張していたことから争点となりました。

 本件では持戻し免除の意思表示が認められると、兄は亡父の遺言書により多くの収益不動産を取得しているにもかかわらず、残りの現 金や預貯金などについても法定相続分(本件では2分の1)を取得できることになります。

 ②の不動産の評価ですが、相続税申告では、不動産は通常、土地は路線価で評価されるため、実勢価格と乖離が生じることになります。そのため、相続人間の取得価額を正確に算出するためには、不動産鑑定を行う必要があります。本件においても、兄弟間の正確な取得価額を算出するため、不動産の一部については鑑定を行っております。

3 本件事案の経緯及び結論

 兄が家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、当初は調停で話し合いをしておりましたが、兄弟間の主張の隔たりが大きく、結局調停 は不成立となり、審判に移行しました。

 審判では、弟側である当方は、亡父が兄の不動産取得について黙示の持戻し免除の意思表示をしていないことを主張するとともに、 残りの現金や預貯金を法定相続分どおりで分割すると、兄の取得分が大きくなりすぎること(この点は不動産鑑定の結果から明らかでした。)を主張しておりました。

 また、亡父の遺言書は相続分の指定を伴っており、兄の遺言による取得分が、法定相続分を超える場合は、兄は残余財産の分配には関与できないため持ち戻し免除が問題となる余地はないことをも念のため合わせて主張しました。

 しかしながら、第1審では、被相続人の黙示の持ち戻し免除を認めたため、兄に対して現金及び預貯金について法定相続分どおりの分割を認めました。

 そのため、弟側である当方は高等裁判所へ即時抗告を行いました。そして、高等裁判所における決定では、亡父の遺言書を特定財産承継遺言(民法1014条2項)として相続分の指定を含む遺産分割方法の指定がなされたものとして、遺言書による兄の取得分が法定相続分を超える場合、現金や預貯金などの残余の遺産については分割には与れず、「持戻し免除」はそもそも問題となる余地はないと認定し、第1審の認定が覆りました。

 兄は許可抗告や特別抗告を行いましたが、いずれも認められず、高裁の決定が確定しました。

4 まとめ

 本件は、家裁の判断が高裁で変わっているように、争点を捉えることが困難な事案でした。そのため、争点に対して主張していくに際して、想定される有利な点については全て主張していくことが必要であると感じました。

 本件は裁判途中で不動産鑑定も行われたことから調停申立から高裁決定まで3年程の時間がかかりました。やはり裁判での解決は時間がかかることになり、長丁場の戦いとなります。

 

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フランチャイズ事案の解決事例

2024-12-11

1  事案内容

 依頼者は、不動産の退去立会の代行等をあっせんするフランチャイズ事業に加盟したのですが、フランチャイズ事業本部は、開業のための試験に合格しなかったことを理由として依頼者の開業を認めず、退去立会の代行のあっせんもしませんでした。訴訟提起前に依頼者の代理人弁護士からフランチャイズ事業本部に依頼者が支払った費用の返還を求めましたが、返還には応じてもらえなかったために、フランチャイズ事業本部を相手として損害賠償請求を求めて裁判所に提起しました。これに対してフランチャイズ事業本部からも違約金などの請求が反訴としてなされました。

2  事案の分析及び解決方法

 訴訟での主な争点は、フランチャイズ事業本部の説明義務違反があるのか、依頼者の損害としての逸失利益が認れられるのか、依頼者にフランチャイズ事業に加盟するにあたって落ち度(過失)が認められるのかでした。他にも特定商取引法上の違反することについても争点としておりました。

 判決では、開業可能性の有無の説明が適切になされなかったこと、適切な収益予測が提供されていなかったことなどが認定され、フランチャイズ事業本部の説明義務違反が認められました。

 逸失利益についてはフランチャイズ事業に加盟しなければ他で就職して得られたであろう収入を求めていたのですが、この点については依頼者の請求は認められませんでした。

 依頼者の落ち度(過失)ですが、通常、同種訴訟では、フランチャイズ事業といえども加盟者も独立した事業体であるとか、加盟者自身が加盟前にフランチャイズ事業をきちんと調査しなかったとか、加盟者が過去に会社経営や個人事業の経験があるなどを根拠として損害額の3割から7割程度の過失相殺がなされてしまいます。しかし、本件ではフランチャイズ事業本部が依頼者に対して開業可能性及び収益予測について不正確又は誤った情報を提供した著しい落ち度があるとして、過失相殺を一切認めませんでした。また、反訴においてフランチャイズ事業本部が求めていた違約金請求は認められませんでした。

 フランチャイズ事業本部は高等裁判所へ控訴しましたが、控訴審においても第1審の内容がそのまま維持されることを前提で和解いたしました。

  最終的に依頼者はフランチャイズ事業本部に支払った費用の全額の返還を受けることができました。

3  まとめ

  本件は、当初フランチャイズ事業本部と交渉しようとしましたが、結局、話合いで解決できなかったため訴訟を提起して解決した事例となります。裁判所が依頼者の落ち度を一切認めずに依頼者が支払った費用の全額を損害と認めたことが他の同種訴訟では見られない点といえます。ただ、訴訟提起から控訴審での和解まで2年半程の時間がかかりました。やはり訴訟での解決は時間がかかることになり、長丁場の戦いとなります。なお、フランチャイズ事業については十分に検討されてから加盟をすることをお勧めいたします【フランチャイズ事業の加盟を検討している方へ | 京都市中京区で初回法律相談無料のアーツ綜合法律事務所】。

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建物明渡し事案の解決事例

2022-08-24

1 事案内容

  依頼者はマンションのオーナーですが、ある部屋の借主が1年近くも賃料を滞納しており、その部屋には借主ではない人物も複数出入りしており、管理会社も借主と連絡が取れないことから、対応方法に困り相談に来られました。

2 事案の分析及び解決方法

  依頼者から事実関係を確認すると、借主本人とはほとんど連絡が取れない状況であり、借主でない人物から依頼者や管理会社へ連絡がある状況であり、さらには借主ではない複数の人物が部屋に出入りしているということでした。

  そのため、借主へ内容証明郵便を送付し、期限を設定した上、滞納賃料の支払いがなければ賃貸借契約を解除する内容証明郵便を送りましたが、借主は受け取らずに返送されてきました。そのため借主の部屋に投函されたとの記録を残すため、特定記録郵便で送達しました。当然のことながら、期限までに滞納賃料の振込みもなく、訴訟を提起することにしました。

  しかし、今回のケースでは、借主でない人物の出入りが複数確認されていたため、実際に部屋に居住している人物が借主でない可能性も考えられたので、明渡訴訟を行う前に占有移転禁止の仮処分を行ないました。

  占有移転禁止の仮処分を行っておくことで、明渡訴訟の途中で占有者が変わっても、新たな占有者に対しても強制執行により明け渡しが可能となります。

  その後、明渡訴訟を提起した上で判決を取得しましたが、借主は任意に退去することはなく、最終的には強制執行を行いました。

3 まとめ

  本件は借主が任意に退去しなかったので、建物明渡にかかる手続(仮処分-訴訟-強制執行)をすべて行いました(建物明渡請求の流れ)。借主が居直って、任意に明け渡しない場合、賃貸人が実力行使して借主を追い出すと、逆に借主から損害賠償を請求されてしまう可能性がでてきてしまいます。一刻も早く退去してもらいたい賃貸人の気持ちもわかりますが、実力行使をしてしまうと元も子もありません(家賃滞納者に対して行ってはいけないこと)。

  借主が家賃滞納して早急に退去してもらいたい場合は、弁護士に相談することをお勧めします。実際には、本件のように強制執行まで行うケースはあまりなく、それ以前の段階で任意に退去することがほとんどです。

 そこで、借主が家賃を滞納しており明渡しを求めたい場合、是非アーツ綜合法律事務所へご相談下さい。

解雇処分をされた事案の解決事例②

2021-09-19

1 事案内容

 依頼者は勤務している会社から勤務態度不良等を理由として、いきなり解雇されてしまいました。依頼者は解雇予告手当ももらっておらず、また次の就業先も決まっていないため、途方にくれて当事務所へ相談に来られました。

2 事案の分析及び解決方法

 依頼者から事実関係を確認すると、会社が主張する勤務態度不良等の内容が全く事実と異なっており、会社が主張する内容が仮に事実であったとしても解雇の要件を充たしているものとは到底解せないものでした(不当解雇されそう・された方へ)。

 また、依頼者が勤務していた会社は外国法人であり、雇用契約上は会社の現地法が適用されるとの契約内容になっておりました。そして現地法では、労働者に対する解雇は自由に行うことが可能であり、解雇予告手当の支払も必要がないものでした。

 しかし、依頼者は外国法人と雇用契約を結んでいるものの、日本国内で勤務していたため、法の適用に関する通則法12条(注)によれば、解雇権の行使については日本法が適用される事案でした。

 そこで、会社に対していきなり訴訟や労働審判を申立てるのではなく、まずは交渉を試みました。当方は解雇に関する本件事案では日本法が適用されるため会社の解雇手続には理由がなく解雇は無効であることを主張しました。

 しばらくは会社の担当者とやりとりを続けていましたが、最終的に会社は解雇処分を撤回し、依頼者の給料の4ヶ月分近くの解決金を支払い、依頼者は退職することで合意が成立しました。

 (注) 法の適用に関する通則法12条

  1 労働契約の成立及び効力について第7条又は第9条の規定による選択又は変更により適用すべき法が当該労  働契約に最も密接な関係がある地の法以外の法である場合であっても、労働者が当該労働契約に最も密接な関係がある地の法中の特定の強行法規を適用すべき旨の意思表示を使用者に対し表示したときは、当該労働契約の成立効力に関しその強行法規の定める事項については、その強行法規をも適用する。

3 まとめ

 本件は訴訟や労働審判を申し立てることなく、交渉でまとめることができたため、依頼を受けてから2ヶ月程で解決に至りました。

 勤務する会社から退職を求められたり、解雇されたりすると、従業員としてはどのように対処してよいのかわからず、自ら会社と交渉していくのは過度な負担となり困難と思われます。

 そこで、退職勧奨や解雇処分を受けてお困りの場合は、是非アーツ綜合法律事務所へご相談下さい。

 

解雇処分をされた事案の解決事例

2021-01-21

1 事案内容

  依頼者は勤務している会社から能力不足等を理由として、退職を求められておりました。そのため、当事務所へご相談に来られました。依頼者が当事務所で相談されてから、間もなく会社から解雇処分をされてしまい、当事務所へ正式に依頼することになりました。

2 事案の分析及び解決方法

  依頼者から事実関係を確認すると、会社が主張する能力不足等の内容が事実と異なっており、会社が主張する内容が仮に事実であったとしても解雇の要件を充たしているものとは到底解せないものでした(不当解雇されそう・された方へ)。

  そこで、会社側にも弁護士が就いていたこともあり、いきなり訴訟や労働審判を申立てるのではなく、まずは交渉を試みました。当方は解雇の理由がないことを述べ、解雇無効を主張しました。

  しばらくは会社側の弁護士とやりとりを続けていましたが、最終的には会社側は解雇処分を撤回し、依頼者の給料の約半年分の解決金を支払うことにより、依頼者は退職することで合意が成立しました。

3 まとめ

  本件は訴訟や労働審判を申し立てることなく、交渉でまとめることができたため、比較的短期間で解決に至りました。勤務する会社から退職を求められたり、解雇されたりすると、従業員としてはどのように対処してよいのかわからず、自ら会社と交渉していくのは過度な負担となり困難と思われます。

  そこで、退職勧奨や解雇処分を受けてお困りの場合は、是非アーツ綜合法律事務所へご相談下さい。

 

 

多額の保証債務について私的整理で解決した事例

2020-12-21

1  事案内容

  依頼者は20年ほど前から、個人事業を営む知人が金融機関から借り入れるにあたって連帯保証人となってい ました。借入金の返済は知人が続けておりましたが、本年3月にその知人が亡くなってしまいました。ほどなくして金融機関から保証人である依頼者へ今後の返済に関して連絡がありました。借入金額を確認したところ、数千万円以上となっており、依頼者にとってはとても支払える金額ではなかったため、ご相談に来られました。

2 事案の分析及び解決方法

 依頼者に事実確認をすると、亡くなった知人の相続人は全員が相続放棄をしており、金融機関は貸付債務を回収するには、知人から担保として取っていた不動産を処分するか、依頼者から返済してもらうことだけでした。依頼者の資産等からすると、保証債務額は多額であったため返済能力を超えておりました。個人再生を検討しましたが債権者が金融機関1社であったことから保証債務額のうち一部を返済することで私的に整理することができないか、まずは交渉してみることにしました。

  金融機関からは依頼者の資産のすべて開示を求められましたので、資料を揃えて開示するとともに、依頼者が返済可能な金額を提案しました。

  金融機関への金額の提案の根拠としては、亡くなった知人が所有していた不動産の市場価値を控除した上で、依頼者が破産を選択した場合や個人再生を選択した場合に金融機関へ返済されるであろうおよその金額を併せて算出の上、提案しました。

  最終的には、金融機関はこちらの提案額に同意してくれましたので、合意書を作成の上、依頼者が合意した金額を一括で返済することで解決することができました。

3 まとめ

  本件では、依頼者は破産や個人再生を行わずに保証債務額の10%以下の金額を返済することで済みましたので満足していただきました。また、私的整理で解決することができましたので、依頼を受けてからわずか2ヶ月半程で終了しました。

  現在では経営保証ガイドラインなどに基づく私的整理が整備されており、これまで破産しか方法がなかった事案でも私的整理で解決できる場合があります(会社を再建(再生)させるための方法 | アーツ綜合法律事務所 (arts-saimu.com)。

 

 保証債務のことでお悩みの場合は、初回相談は無料となっておりますので、是非、アーツ綜合法律事務所へご相談下さい。

遺産に債務がある場合の相続の解決事例

2020-12-11

1 事案の内容

  依頼者は配偶者を亡くし、相続が開始したところ、被相続人である配偶者には信販会社等の借金があることが判明し、他の相続財産には不動産があったものの、どのように対応することが最もよいのかわからないため相談に来られました。法定相続人は依頼者本人と子ども2人の3人でした。

2 事案の分析及び解決方法

  依頼者に事実確認をすると、亡くなった配偶者だけでなく、依頼者本人も複数の債権者からの借り入れがあり、両者合わせて数百万円程の負債がありました。プラスの相続財産としては不動産があり、依頼者が居住していました。依頼者は引き続き不動産に居住したいとの意向でしたので、依頼者が債務も含めて相続することにしました。ただ、子ども2人のいずれもが相続放棄をすることも考えられるのですが、子ども二人が相続放棄をすると被相続人の兄弟姉妹が法定相続人となる事案でしたので、この点を回避するため子どものうち1人が相続放棄することにしました。

  依頼者ともう一人の子と遺産分割協議を行い、依頼者が負債を含めてすべての遺産を相続するとの内容の分割協議を成立させました。

  その後、依頼者と被相続人の債権者及び依頼者が借り入れた債権者との間で交渉し、分割払いを行っていくとの債務整理を行いました。もちろん、相続財産としての負債については遺産分割協議により法定相続人の一人が相続するとしても、債権者には対抗できませんが、実際には債権者は依頼者が今後、分割で支払っていくとの債務整理には応じてくれました。

3 まとめ

  本件は依頼者が不動産に引き続き居住する意向を持ち、相続した負債については長期の分割であれば返済していくことができる収入があったことから、相続放棄、遺産分割、債務整理を組み合わせて処理を行いました。また依頼者の意向が明確であったので、比較的な短期間ですべての手続を終了することができました。

  相続や遺産分割のことでお悩みの場合は、是非、アーツ綜合法律事務所へご相談下さい。

 

解決事例(被相続人死亡後、第三者から生前贈与を主張され訴訟で解決した事例)

2020-07-27

1事案の概要

 本件は、被相続人が所有する自宅であり、同人の亡夫が生前経営していた会社の本店所在地ともなっていた土地建物につき、同社が既に休眠状態であるにもかかわらず、同社の取締役である被相続人の親族Aが使用しておりました。そのため、被相続人の子らから依頼を受けて、Aを相手方とする土地建物明渡し及び賃料相当損害金の請求をした事案です。Aからは、土地建物につき被相続人から生前贈与を受けたとして所有権移転登記手続請求がなされました。

2事案の特色

 この事案では、被相続人の夫が亡くなった際に既に高齢であったにもかかわらず被相続人が名目上会社の代表取締役となっており、Aが会社に多額の貸付をしていたとのことで、事実上の休眠状態後も代表取締役から外してもらえず、会社の休眠手続もとってもらえない状態が続いておりました。

 さらに、高齢で財産管理のできない被相続人の状態に乗じ、Aにより被相続人の自宅を譲渡させられることを危惧した依頼者の一人が被相続人の成年後見申立を行い、自ら補助人となりました。しかし、その間、被相続人は自宅の所有権をAの子に譲渡する売買契約書とともに、Aに対する高額な借金があること、その借金額を売買代金にあてることなどの覚書まで署名させられてしまっており、依頼者にとっては不利な状況となっておりました。

3交渉及び訴訟

 まずは親族間のことでもありましたので交渉から入りましたが、Aは土地建物の明渡しを頑なに拒否し、会社の清算手続にも全く協力してもらえませんでした。

 そのため、Aを取締役から解任した上で、依頼者が代表取締役に就任して会社の休眠手続をとることから始めました。

 その後、訴訟提起しましたが、Aからは被相続人が署名した売買契約書や覚書、利害関係のないはずの被相続人の友人複数人の証言等の証拠が提出されました。そのため、こちらもAから提出された証拠を一つ一つ精査するとともに証拠収集を行い、証人を確保することで、尋問等を経て一審では勝訴判決を得ることができました。Aから控訴されましたが、控訴審では一審を前提とした勝訴的和解ができ、Aから土地建物を円満に明け渡してもらった上で、解決金の支払いを受けることで無事解決することができました。

4結語

 本件は依頼者にとって不利な証拠があり、状況的には厳しいものがありましたが、証拠集めも含め依頼者とともに粘り強く行い戦い抜いた結果、勝訴的解決に結び付くことができました。依頼者にも大変満足していただきました。

 相続、遺産分割などでお困りの方は、当事務所までお早めにご相談下さい。

解決事例(相続・時効を援用したり、成年後見人を選任たりして解決した事例)

2020-03-30

1 事案内容

  本件は,依頼者の叔母(被相続人)が亡くなり,依頼者の両親が既に亡くなっていたため依頼者とその妹が相続人となった代襲相続の事案です。依頼者は,叔母の財産状況を全く把握しておらず,叔母が居住していた建物の底地は祖父母名義のままであり,叔母の水光熱費電話代等の未払いがあること,叔母にその他の債務の存在がうかがわれる郵便物がありました。さらに,妹が重度の障害を有し,施設に入所しており,妹の財産も叔母に管理してもらっていたため,妹の施設費用等が未払いになっていること,今後の同費用等の支払いの管理についても不安がありました。

2 解決方法

  叔母の相続につき放棄をするか否かを検討する必要がありますので,叔母の債務の存在が疑われる郵便物一式から債権調査を行うとともに,相続放棄期間伸長の申立を行うとともに審判を得ました。さらに,施設で妹本人と面会した上で施設長及び担当の方から説明を受けて状況等の確認を行った上で,妹の成年後見の申立を行いました。

 その後の債権調査で,叔母の債務の多くが消滅時効にかかっていることが判明したことから内容証明郵便にて消滅時効の援用を行ないました。また叔母が居住していた建物及び底地については隣地の方が購入を希望したことなどから相続することとし,妹の成年後見人とともに遺産分割協議を行い,不動産売却手続きを行いました。

 そのため,依頼者はその売却代金で,叔母の債務等一切を清算しその余剰を得るとともに,妹に成年後見人が選任されたことで,未払いとなっていた妹の施設費用等も,妹が取得した遺産により解消され,今後の妹の費用の支払い等の心配もなくなりました。

3 雑感

  主に相続事案として相談を受けましたが,遺産分割を行うにしても共同相続人である妹に成年後見人が必要となる事案であったこともあり,成年後見の申立を行うことで妹の今後の心配についても解消できました。また,財産状況を把握していなかった被相続人である叔母の財産につき,相続放棄期間伸長の申立を行うことで,その調査も時間をかけて行うことができました。遺産分割までには様々な手続きが必要となりましたが,各手続を経ることで,財産状況をしっかり把握した上で熟慮し,叔母の債務についても消滅時効を援用することでマイナスの財産も最小限にでき、叔母の不動産を売却できたことで、妹の施設費用の未払分も支払うことができ、依頼者にとっても良い結果となりました。

解決事例(交通事故 異議申立により後遺障害14級が認定された事例)

2020-01-08

1 事案内容

  本件は交差点における自動車同士の事故であり、交差点での一時停止規制を無視した加害車両が、交差点において被害者両の左前部に衝突した事案となります。当事務所は被害車両を運転していた女性から依頼を受けました。当事務所が依頼を受けた時点で依頼者は既に自動車の損害(いわゆる物損)については示談していたため、人損について解決していくことになりました。

2 経緯・異議申立手続-後遺障害14級の認定

  依頼者は事故以降、頸部痛などにより診療所に定期的に通院しておりましたが、事故から7ヶ月程経過してから症状が固定したため、後遺障害の認定手続をしました。しかし結果は非該当でした。この時点の保険会社の提示額は63万円(治療費を除きます)でした。

 そのため当事務所へ相談に来られ、依頼を受けることなりました。この時点で事故から1年半程が経過しておりました。依頼者から事故状況を聞き取ったところ、事故以降、定期的に通院していることや頸部から肩にかけての痛みが一貫して継続していることが認められました。画像所見がなかったことから病院でMR画像を撮ってもらうように要請しました。画像所見を確認したところ、頚椎椎間板が突出している状況が認められたので、頸部痛と整合することが判明したため、異議申立をしました。

 異議申立の結果、頸部痛が残存していることから後遺障害14級が認定されました。

 後遺障害14級が認定された後、保険会社と交渉しましたが、過失割合の相違により金額に差があったため合意することができずに訴訟を提起することにしました。

3 訴訟提起

  訴訟を提起したところ、裁判所からは早い段階で和解を勧められたこともあり和解で解決しました。過失割合については変更することはできませんでしたが、弁護士介入後に休業損害、逸失利益、慰謝料の増額が認められ、総額315万円(治療費を除きます。)の支払いを受けることができました。

4 雑感

  本件は当事務所が依頼を受ける前、依頼者は保険会社から63万円の提示を受けていたのですが、当事務所に依頼してから最終的に315万円の支払いを受けることができました。弁護士へ依頼したことが増額を獲得できた要因と言える事案です。また依頼者は保険会社の弁護士費用特約に加入していたため、弁護士費用は保険会社から支払われており自己負担はありませんでした。やはり自動車保険に加入する場合、弁護士費用特約を付することは費用もあまりかからないので必要であると思います。

 

 

  

  

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