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1家賃保証会社の役割
マンションやビルなどの一室を借りる場合、賃貸人との間で不動産賃貸借契約を締結しますが、通常、仲介業者を通じて契約します。そして契約を締結するにあたって、保証人を求められることが原則となっており、賃借人が個人であれば自分の親族(通常は両親のいずれかが多いです)を保証人とすると思われます。もっとも、最近は、賃貸人が賃料の滞納を防止するために、保証会社を保証人とすることもよくあります。
保証会社の役割は、賃借人が賃料を滞納した場合、賃貸人に対して滞納賃料を代わって支払うところにあります。これによって、賃貸人としては家賃が回収不能となる危険がなくなります。仮に保証会社と契約していなければ、賃貸人としては賃料の回収をあきらめて、賃借人に退去してもらうことでよしとしなければならなくなります。また、賃借人が勝手に出てしまい残置物が残っている場合であれば、賃貸人が訴訟を提起し、強制執行を行う必要があり、余計な費用がかかることになります。
そして滞納賃料を代位弁済した保証会社は賃借人に請求していくことになります。
2改正民法における保証契約のあり方
改正民法では、賃貸人が個人保証人と保証契約を結ぶ場合、極度額を定めなければならないとしております(465条の2)。これは、個人保証人が知らないうちに滞納賃料が多額になっていることがあるため、あらかじめ極度額を決めておくことで個人保証人の保護を図ることにしたのです。しかしながら、保証会社が保証人となる場合は、極度額を定める必要はありません。
もっとも、保証会社は、賃貸人と保証契約を結ぶ際には、保証する金額の範囲を定めることが通常です。
3保証会社の代位弁済後に、賃借人に対する賃貸借契約解除及び建物明渡の可否
保証会社が滞納賃料を賃貸人に支払った後、賃借人が保証会社に支払えば問題ありませんが、賃借人がそれ以降も賃貸人に支払うことなく、保証会社が賃貸人に支払い続けた場合、賃貸人は賃借人との賃貸借契約を解除し建物の明け渡しを求めることができるのでしょうか。保証会社が賃貸人に賃料を支払っている以上、賃借人に滞納がないのではないかが問題となります。
この点について争われた裁判例(大阪高裁平成25年11月22日判決)があります。
同裁判例では、「賃貸借保証委託契約に基づく保証会社の支払は代位弁済であって、賃借人による賃料の支払いではないから、賃貸借契約の債務不履行の有無を判断するに当たり、保証会社による代位弁済の事実を考慮することは相当でない。なぜなら、保証会社の保証はあくまでも保証委託契約に基づく保証の履行であって、これにより、賃借人の賃料の不払という事実に消長を来すものではなく、ひいてはこれによる賃貸借契約の解除原因事実の発生という事態を妨げるものではないことは明らかである。」と認定し、賃貸人による賃貸借契約の解除及び建物の明け渡しを認めました。賃借人は最高裁へ上告しましたが、棄却・不受理となり、確定しております。
このように保証会社が賃貸人へ代位弁済したとしても、賃借人の賃料不払いの事実は無くなることはありませんので、賃貸人としては、3ヶ月以上、保証会社から支払ってもらっているのであれば、賃借人との賃貸借契約を解除することが可能となります。
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