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1事案内容
本件は行政からの発注により請負業者が道路拡幅工事を行ったのですが、道路に隣接した住民が自分の土地の地盤沈下及び土地上の建物が損傷を被ったと主張して、行政と請負業者(元請業者及び下請業者)に対して損害賠償を求めて訴訟を提起した事案となります。当事務所は請負業者(元請業者及び下請業者)から依頼を受けて訴訟対応を行いました。
2争点及び主張
本件は、道路に隣接した土地(以下、「本件土地」といいます。)につき地盤沈下が起こったのかどうかという点、建物損傷が認められるのかという点、さらには行政や請負業者に過失があるのかどうかという点が主な争点でした。本件では行政が道路拡幅工事の前と後に事前測量調査及び事後測量調査を行っており、また、土地が軟弱地盤であることや建物についても築年数が古くまた場所によっては生理的限界値まで傾斜が進んでいたという事情がありました。
3請負業者の主張
請負業者としては行政の事前調査結果及び事後調査結果から本件土地については地盤沈下がないことを主張するととともに、仮に調査結果を地盤沈下と評価するとしても本件土地が軟弱地盤であることや建物が老朽化していることが地盤沈下の主な原因であり、これらの状況を工事施工時点で請負業者が知りうる立場にないことから、請負業者に過失はないことを主張しました。
4 訴訟経過
一審判決は、本件土地の地盤沈下を認めるとともに行政及び請負業者の過失を認め、住民の損害賠償請求を一部認めました。一審判決に対して請負業者も行政も控訴しました。控訴審においては現状の地盤や建物の状況を確認するため、さらに測量調査が行われました。控訴審においても、測量調査の結果から地盤沈下とは言えないことや過失がないことを再度主張するとともに、工事施工の進行状況をさらに詳しく主張しました。その結果、控訴審では地盤沈下が生じたことを否定するとともに、請負業者及び行政の過失責任がないことを認め、一審判決で認めた損害賠償を取り消しました。そして控訴審で本件は確定しました。
5 雑感
本件は一審の訴訟提起から控訴審で終了するまでに5年以上かかりました。この種の訴訟では土地の沈下があったのかどうかなど専門的な評価が必要となるので時間がかかるのはやむを得ない点はあると思いますが、当事務所の依頼者である請負業者の立場からすると5年以上にもわたり訴訟対応を余儀なくされることはかなりの精神的負担を伴うものでありました。しかしながら依頼者が必要な証拠を丁寧に集めていただくなど奮闘してくれたおかげで勝訴に結び付きました。

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