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1 事案内容
依頼者は、不動産の退去立会の代行等をあっせんするフランチャイズ事業に加盟したのですが、フランチャイズ事業本部は、開業のための試験に合格しなかったことを理由として依頼者の開業を認めず、退去立会の代行のあっせんもしませんでした。訴訟提起前に依頼者の代理人弁護士からフランチャイズ事業本部に依頼者が支払った費用の返還を求めましたが、返還には応じてもらえなかったために、フランチャイズ事業本部を相手として損害賠償請求を求めて裁判所に提起しました。これに対してフランチャイズ事業本部からも違約金などの請求が反訴としてなされました。
2 事案の分析及び解決方法
訴訟での主な争点は、フランチャイズ事業本部の説明義務違反があるのか、依頼者の損害としての逸失利益が認れられるのか、依頼者にフランチャイズ事業に加盟するにあたって落ち度(過失)が認められるのかでした。他にも特定商取引法上の違反することについても争点としておりました。
判決では、開業可能性の有無の説明が適切になされなかったこと、適切な収益予測が提供されていなかったことなどが認定され、フランチャイズ事業本部の説明義務違反が認められました。
逸失利益についてはフランチャイズ事業に加盟しなければ他で就職して得られたであろう収入を求めていたのですが、この点については依頼者の請求は認められませんでした。
依頼者の落ち度(過失)ですが、通常、同種訴訟では、フランチャイズ事業といえども加盟者も独立した事業体であるとか、加盟者自身が加盟前にフランチャイズ事業をきちんと調査しなかったとか、加盟者が過去に会社経営や個人事業の経験があるなどを根拠として損害額の3割から7割程度の過失相殺がなされてしまいます。しかし、本件ではフランチャイズ事業本部が依頼者に対して開業可能性及び収益予測について不正確又は誤った情報を提供した著しい落ち度があるとして、過失相殺を一切認めませんでした。また、反訴においてフランチャイズ事業本部が求めていた違約金請求は認められませんでした。
フランチャイズ事業本部は高等裁判所へ控訴しましたが、控訴審においても第1審の内容がそのまま維持されることを前提で和解いたしました。
最終的に依頼者はフランチャイズ事業本部に支払った費用の全額の返還を受けることができました。
3 まとめ
本件は、当初フランチャイズ事業本部と交渉しようとしましたが、結局、話合いで解決できなかったため訴訟を提起して解決した事例となります。裁判所が依頼者の落ち度を一切認めずに依頼者が支払った費用の全額を損害と認めたことが他の同種訴訟では見られない点といえます。ただ、訴訟提起から控訴審での和解まで2年半程の時間がかかりました。やはり訴訟での解決は時間がかかることになり、長丁場の戦いとなります。なお、フランチャイズ事業については十分に検討されてから加盟をすることをお勧めいたします【フランチャイズ事業の加盟を検討している方へ | 京都市中京区で初回法律相談無料のアーツ綜合法律事務所】。
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